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要件定義力を徹底的に再構築する:①落ちこぼれ脱却の一丁目一番地

落ちこぼれ脱却の一丁目一番地

プロジェクトで失敗する、ベンダーにいいようにやられる(少なくとも周囲にそう映る)ことを繰り返し、落ちこぼれに至る。IT部門が落ちこぼれるのは、IT部門にとっての一丁目一番地が出来ていないからだ。IT部門にとっての一丁目一番地とは、「開発」と「運用」である。言うまでもない。
筆者がコンサルタントとして働き始めた20数年前、筆者が入社した外資系コンサルティングファームは、開発の方法論、すなわちメソッドを持っていた。「このメソッドがあるから我々は失敗しない。On Time、On Budgetでプロジェクトを成功させる」。それが、当時のメッセージであり、それは結構斬新に世の中に響いていた。失敗しない。これは、ITを担うものにとって、一番初めに達成されなければならないことなのだ。20年以上前から、それは決まっている。

もっとも、現実には、On Time、On Budgetでプロジェクトが成功することは稀で、多くの失敗をしていた。しかしながら、プロジェクトを成功させるための様々な手立てを尽くし、手法としてまとめあげることは画期的だった。後に、多くのベンダーやユーザー企業が開発標準化、運用標準化という名のもとに追随し、各社の開発手法、運用手法が整備されていく。現代においては、ITIL、PMBOKなど、業界横断、グローバルでの手法の標準化も進んできている。IT部門にとっての一丁目一番地には、世界中一生懸命なのだ。
ただ、こうした手法に心酔しきれるかというと、そういうわけではない。闇雲に信じることが出来ない。なぜなら、様々な手法が暗黙に前提としていることが、自社のものと異なっていたり、ベンダーとの契約タイミングなどが慣習的・制度的に世の中の標準手法と微妙に異なっていたりすることもあり、単純に信じるのは危険が伴う。また、こちらの方が致命的なのだが、なんてったって要員の厚みの想定が全く異なっている。できているに越したことがないのだが、経営者がそこまで人材を投入して厚い体制を作ることを容認していない。学べるものが数多いのであるが、自分達なりの手法を編み出していかなければならないのだ。


プロフィール

宮本 認 Mitomu Miyamoto
BA参画前は、某外資系ファームで統括を務める。17業種のNo1/No2企業を経験した異色のIT戦略コンサルタント。

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