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コストを徹底的に削減する:①コスト削減の重要性を軽んじてはいけない
今回のテーマはコスト削減。情報システムのコスト削減を対象にしていこうと思う。「要件定義力を上げる」のは、どちらかと言うとマイナスをゼロにする取組に近い。できて当たり前の度合いが強いからだ。ここからはゼロをプラスにしていく取組とも言えるだろう。経営への貢献をいかにしていくか、それにテーマがあるからだ。
古い話になるが、「日本のすごいIT部門」の中で、徹底的にコストダウンをしているIT部門について紹介をした。コストが安いというだけで、この上ない経営への貢献を果たすこともある。コスト削減とは、経営への貢献の第一歩なのだ。
確かにコスト削減ばかりやっていると、縮小均衡になるという懸念もある。しかし、考えても見てほしい。コストが低ければ、真水で利益とすることが出来る。生産性も高いということであり、同じコストで多くのことが出来る。いいことばかりだ。懸念以上のメリットがある。だから筆者はコスト削減を徹底することは、IT部門にとって最初に経営に貢献するべき領域だと思っている。
ここから「コスト削減をいかに進めていくか」について議論を進めていく。なぜコスト削減が必要となるのか、コスト削減を進めていくときのコツと基本的な考え方、短期的なコスト削減策、数年を視野に進めるコスト削減策にやること、10年を視野に進めるコスト削減策、これらのこと全般について、考え方を整理していきたい。
繰り返しになることをご容赦頂きたい。要件定義に失敗しないということは、それ自体実はすごい難しいことではあるが、正直な意見を述べると、周りからの評価がそんなに良くなるものではない。まさに「落ちこぼれからの脱却」なのだ。
一方、コストは下がると利益になり、経営が喜ぶ。部門ごとに予算が分けられているときなどは、その部門の人も喜ぶ。安いというのは利益に直結する。みんなが嬉しくなる。改めて言いたいが、コストが安いというのはものすごい価値である。
既に十分にコストが安いとお考えの人もいるだろう。一方、まだまだ「じゃぶじゃぶ」という人もいるだろう。じゃぶじゃぶの人だけコスト削減に取り組むべきか?筆者は、そうは思っていない。今、安いかじゃぶじゃぶかに関係なく、どちらの人もコスト削減を進めるべきだと考えている。
安いなと思うところでも下がらないかというと下がる。これまで下げ慣れているから
だろうか。だから、いくつかポイントをついていくと、もう一絞り出来ていける。トヨタ自動車が毎年コスト削減を積み上げているのも、同じ理屈かもしれない。
一方、高いなと思うところは、当然下げることは出来るし、下がる。ただし、簡単に下がるかというと、今まで下げてこられなかった分、思ったよりも難しい。普通に比べてじゃぶじゃぶだからすぐに出来ると周囲は考えてしまいがちだが、高いには高いなりの理由があり、なかなか難しい。
つまり、今のコストが高かろうが安かろうが、下げる難易度はそれなりにある。いずれの場合でも相当な壁が待っている。しかし、改めて言うが、下げた分だけ利益になり、新たな経営貢献となる。その経営貢献は、評価されやすい。
難しいことはわかっているが、今より下げることを考え、経営への貢献をしないといけない。それが、信頼につながる。安くなります、というのに反対する人はいない。経営は、聞きたい報告だ。
信頼を得られると将来的に攻めの施策をやろうとしたときにやらせてもらえやすくなる。経営やユーザは、金がかかることが重なると、IT部門に不信感を募らせていく。だから、下がりました、また下がりましたというのは、プラスの評価になっていくのだ。ITコストは必要なコストだと言いたくなることもあるが、必要だがさらにそこから下げていく気概を持って実行していく、そうしたマインドセットをもちたいところだ。