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コストを徹底的に削減する:⑥コスト削減のための勇気

結局、コスト削減というものはどんな組織でも必要で、安いということを追求していくと真水の利益になっていくので、利益を出してくれる部門になっていく。
それにより経営者はどんどん信頼していく。
だた、単発でやってしまうと、ダイエットと一緒でよくないため、短期・中期・長期で戦略的にやっていく。
短期は無駄をなくすこと、失敗しないこと。ちゃんと競争環境を作り、ベンダーを調達すること。
中期は部門改革をちゃんとする。開発業務、運用業務、人材というところをいじっていく。
長期は自分たちのデリバリーモデルという拠点間・役割分担をいじって揺らぎを起こしていくこと、情報システム自身を長い目線で都市計画に則り効率化していく。
以上のことをこれまで話してきた。
そして、やっていくときに何が重要か。
一つは戦略。戦略的なマインドをもってちゃんとやっていく。簡単に一年で終わらせると思うのではなく、言葉を選ばず言えば、体質転換をすること。
順を追って体質転換を進め、IT部門の在り方を変える。体質を変えていくことを「簡単だ、自分だったらできる」と思わず、長い目線で、極論すれば10年くらいの計画をちゃんと持って進めていく。
それくらいちゃんとやらないと一過性のもので終わってしまうし、リバウンドもしてしまい、結果的に繰り返してしまう。

戦略的に頭を使ってコスト削減の成功要因を考えたとき、どういうものが考えられるか。
コスト削減には何が一番重要かを考えると、戦略が重要である。
例えばBCGやAT&カーニーが「ストラテジック・ソーシング」を掲げていろいろなところでやっている。伝票を出してきて、ここ下がる、ここ下がるを洗い出して、成功報酬として下げたうちの何割かをもらう。
経営企画や社長の名のもとに実行するため、数字を作らないとその人たちの名前に傷をつけてしまうことになり、下げたという成果を無理やり作りに行く。
その実態は、飲み会・グリーン車・研修などの禁止、ベンダーの単価を一律カット、などなど。
結果、しばらくするともとに戻ってしまう。これは、一気呵成にやるんです、と言ってやってしまう。
成果を出さなければいけないので、雑にやってしまう
例えば、以前と同じ仕事をしている人に対して一律で単価削減をすると、もともと価値がある人は他の会社に行き、下げた分の価値しかない人がやって来るため、効率が悪くなる。
それをリバウンドと呼ぶ。
ダイエットと同じく、食生活、生活習慣、運動をトータルで改善しないといけない。一週間絶食して痩せました、ではもとに戻ってしまう。
トータルで考えてキッチリ進めることが大事であり、それを戦略と呼ぶ。いかに戦略的に進めていくかが、コスト削減を考えるうえで重要なアプローチである。
戦略をどのように組み立てると良いかというと、先に構想するということになるが、短期的な視点、中期的な視点、長期的な視点をそれぞれ分けて考えることが重要。
当然短期的なことから進めていくが、短期的にやることといえば、平たく言うと、無駄をなくすことである。
どんなところでも無駄はある。安いところは無駄が少なく、高いところには無駄が多いのは一つの事実としてある。
例えば、ライセンスが重複している、PCが社員数より多い、カラ出張している、などなど。
無駄があればまず取りに行く。
その次は、生産性を上げることを考える。情報部門がやっていることは平たく言うと土方である。
いわゆる大工の仕事、ものを作り上げるという仕事と、作り上げた成果を止まらないように回すということ。
人が仕組みを作って運用していくということをやっている。これをいかに効率的に回せるようにするか。これが部門の業務改革につながっていく。
長期的には、情報システムの構造改革。組織的なもので言うと、デリバリーモデル。外注でやるのか、内製化するのか。
今はオンショアが盛り上がっているが、昔はオフショアが盛り上がっていた。そういった、作る場所を含めて、どこでやるのがいいのかを考える。
最近だとクラウドが当たり前になっているが、そういったインフラストラクチャーがどうなっているのが良いのか。
パッケージが良いのか、カスタマイズしたら良いのか、仕組みが一番うまく回る形に変えていく。
情報システムそのものと、部門のデリバリーモデルを構造改革する。
テクノロジー系のコンサルティングファームは大抵すぐ構造改革のほうを持ってくる。「ウチの〇〇デリバリーセンターを使って変えていきましょう」と持ってくる。
だが、即効性があるものではなく、逆に生産性が十分に高くないところへ持っていくと、非効率をそのまま外に持っていくことになるため、順番も重要。
短期的な施策で止血し、中期的な施策でトレーニングし、長期的な施策でプレーを変えていくことが重要。
やりましょう、ということがとても重要だが、もう一つ重要なことがある。それは何か。ガッツである。
コスト削減、コストを下げるということは、つまり誰かの仕事を奪うこと。
パソコンを減らせばパソコンを作っている人の仕事を奪う。ベンダーの単価を下げれば、高い単価の人をアサインできなくなり結果的に単価の高い人の仕事を奪う。結局コストを下げるということは誰かの仕事を奪っていくことになる。下手をすれば、下げられる側の評価も下がる。ベンダーからすると売上が下がる。それでもやらないといけない。
やる側はキツイ。ベンダーでは外される人たちが出てくる。その人たちに伝えていかないといけない。伝えられる側だって嫌なもの。「やっとけよ、お前」くらいの感じで済ませられるものでもない。
結局のところ、そういう一つ一つのコストを下げると言うのは簡単だが、最終的に下げなきゃいけない局面にくると、ある意味人を殺すようなことをやらなきゃいけない。否定もしなければいけない。
結局のところはそれをやりきるためのガッツをもって進めないといけない。
ただ、そのガッツというのは、若い人たちの「僕何でもやります!」というアホなガッツではなく、
「俺たちのやっていることは人の仕事を奪っているんだ」と、「そういうことをちゃんとわかって、それでもやっているんだ」というガッツ。そうしないとこの会社のためにはならない。それが新しい投資になり、新しい仕事を生む。社員に分配されて、社員が幸せになる。正しいという信念と、会社のために貢献するという気持ちに裏打ちされ、一方、ベンダーにも「あなたのことを否定しているわけではない」、「あなたの評価が下がることを重々承知している」が、自分の立場としてそれを分かった上でやらなければいけない。それがプロとしての気持ちであり、そういう強い気持ちをもってあたっていく。
そうしないと、単に、やっている人間が後でつぶれていくことになる。
だから、正しい理解・使命感・世の中に対する知識・ベンダーに対する尊敬、これらを持ち、勇気をもって進めていくことをガッツと呼ぶが、これが一番大事。
手前味噌な話だが、筆者もベンダーにガーっと言っている。嫌っている人もいるだろうけど、結構信頼されている。仕事がやりやすいといわれるし、最後は温かいです、と言われる。
そういうところも含めて、ガッツをもってやっていくというのが最後の最後で重要になる。


プロフィール

宮本 認 Mitomu Miyamoto
BA参画前は、某外資系ファームで統括を務める。17業種のNo1/No2企業を経験した異色のIT戦略コンサルタント。

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